相続の承認と放棄

相続が開始されると、相続人となった人はまず最初に、その遺産を「相続するかどうか」の選択を行います。その選択肢の1つとして相続放棄があります。相続放棄とは、被相続人の遺産を一切承継しないようにすることです。

民法では、相続することを「承認」といい、相続しないことを「放棄」といいます。

相続の承認と放棄

承認には単純承認と限定承認の2種類あります。放棄は1種類だけです。相続の際には、これら3つの選択肢の中からどれか1つを選ぶことになります。

単純承認

被相続人が残した財産を全て相続します。これには借金等のマイナスの財産も含まれます。一般的に「相続する」といった場合は、この単純承認であることがほとんどです。なお、単純承認の場合、特別な手続きは要しません。(何も手続きしないと単純承認したことになります。)

限定承認

「限定」と名の付くように、一部だけ財産を相続するものです。プラスとマイナスの遺産を合計し、プラスが上回った場合は、その上回った分だけ相続します。プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか分からない場合に利用されます。

相続放棄

相続財産を、プラスマイナスを問わず、一切承継しない方法です。マイナスの財産の方が明らかに多い場合や、プラスの財産があっても自分は相続しなくてもよいとする場合等に用いられます。

遺産の全部または一部を処分した場合や、遺産の全部または一部を隠蔽していた場合は、単純承認をしたとみなされる場合があります。

葬儀費用について

分相応の葬儀のための費用を被相続人の相続財産から支払っても、単純承認にはなりません。つまり、葬儀費用を相続財産の中から払った後で、相続放棄をすることができます。

この他、形見分けや社会的に相当な仏壇や墓石を購入も単純承認にならないとされています。

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