社会保障

 

 H26年5月憲法記念日に(オバマ米国大統領ご訪日の翌月)

  
自今、法令の改正等に御留意下さい。

社会保険に関する改正の概要等

1 雇用保険法の一部改正(H26、3、31公布 安倍晋三 内閣総理大臣  H26、4、1施行)等
主旨
(1) 育児休業給付の充実
育児休業給付について、1歳未満の子を養育のため、育児休業開始後半年間は
休業開始前の賃金に対する給付割合を67%に引き上げ。
(2)再就職手当の拡充
・再就職時点での賃金低下が早期再就職を遅らせることもあるとして、基本手当受給者
で早期再就職後、6カ月間定着し、賃金の低下した者にその差額6カ月分を一時金として拡充給付。

2 労働契約法の有期労働契約(パート派遣労働等)に関する3つの改正(H24/8/10公布)
・労働基準法の遵守とともに、働く人が安心して働き続ける社会の実現
(1) 期間の定めのない、無期労働契約への転換の権利・・・H25/4/1施行
・有期労働契約の通算期間が5年を超え,意思あれば、無期労働契約転換申込書を出し、
使用者は受理通知書を交付するが良。
(H25.3.31以前に開始の有期契約は通算なし)
・有期労働契約の間に6ヵ月以上の契約がない空白期間は、通算されない。

(2) 最高裁判例で確立の「雇止め法理」を法定化・・・公布日に施行
・有期労働契約が労使双方から良好な雇用形態の1つとして活用されることを所望
・労働者保護の観点から、過去の最高裁判例で、一定の場合に雇止めを無効とするルールが
確立
した法理の内容や適用範囲を変更せず、労働契約法に条文化。
条文化されたルールの適用のためには、労働者から有期労働契約の更新の申込みが必要。
・「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準」を書面の交付で明示する義務(労働基準法施行規則:H25/4/1から)
・1年を超える有期労働契約や、3回以上更新されている場合は30日前までに、
 雇止めの予告が必要。
(3) 不合理な労働条件の禁止・・・H25/4/1施行
・期間の有無による不合理な労働条件の相違の禁止
  ・不合理とされた労働条件の定めは無効で、不法行為(故意・過失による権利侵害)となることも。
  ・定年前後の相違は、特段の事情がない限り

*注、法令上、有期、無期を問わず、雇用行政書士は禁止(行政書士法人を除く)

参照 等
 * 有期労働契約の新しいルールができました
労働契約法改正のあらまし
    厚生労働省 都道府県労働局 労働基準監督署   厚生労働省HP

  *育児休業給付の充実や教育訓練給付の拡充等の方針を了承 報道発表資料
       厚生労働省  職業安定局 雇用保険課 (H26/1/16)
    H26年3月、国会通過(衆議院+参議院)可決成立
  *厚生労働省関係の主な制度変更(平成26年4月)について
    平成26年3月31日  政策統括官付社会保障担当参事官室 HP
  *平成26年3月31日  月曜日  官報

 平成25年3月1日 追記等

社会保険に関する改正の概要等

*高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律:
H24年9月5日法律第78号、平成25年4月1日施行)

1、 65歳現役社会(希望者全員の65歳までの雇用確保)の実現
・平均寿命、65歳からの平均余命も伸びる
・厚生年金の支給開始年齢は制度発足当初は55歳であった。
・国民年金(基礎年金:20~60歳が被保険者期間)の支給開始年齢は
制度発足
当初から現在に至るまで65歳支給
2、雇用と年金の確実な接続(無年金、無収入の防止)で国民生活の安定化
3、定年の定めは60歳を下回ることはできない。
4、改正により、継続雇用の対象者を限定する基準(労使協定によった)の仕組みの
廃止と希望者全員を継続雇用制度の対象とする。
・65歳への定年引き上げとは異なる。
・個人個人の労働者を雇用する義務ではなく、制度の設置義務
5、 高年齢者雇用確保措置
・定年の定めをしている事業主は高年齢者の65歳までの安定した雇用確保のために、
「定年の引き上げ」、「継続雇用制度の導入」、「定年の定めの廃止」の
いづれかの措置の導入が義務化された。
・いづれの措置もとらない場合は、定年が無いものと判断されることも。
6、厚生労働大臣は、高年齢者雇用確保措置の勧告に従わなかった場合、企業名の公表
をすることができる。
7、平成6年、12年の改正で、老齢厚生年金の定額部分(1階部)、報酬比例部分(2階部)
の支給年齢が、男女共に60歳から65歳に引き上げるべく統一された。
(段階的に、12年かけて。女性は男性より5年遅れ)
・来月、この平成25年4月(2013年)には、男性の定額部分が65歳からの支給開始に、
報酬比例部分が61歳からの支給になり、段階的に引き上げ、平成37年《2025年》には
報酬比例部分も65歳支給に引き上げ完了。(3年に1歳引き上げで、12年かけて、
65歳に統一:女性は5年遅れ)
・昭和36年4月2日以後の生まれの人からは報酬比例部分も含めて、
65歳からの支給となる。
平成25年の、この4月からは報酬比例部分の引き上げが12年かけて、開始される。
これらに対応しての定年・継続雇用制度の見直しである。
8、改正法附則第3項により、平成25年3月31日迄に、労使協定により、継続雇用制度の
対象者を限定する基準を定めていた事業主には、経過措置がある。
60歳定年制を維持しながら、改正前の高年齢者雇用安定法第9条第2項に基づく労使協定の
定めがある場合、老齢厚生年金の報酬比例部分の受給開始年齢以上の年齢の者について、
継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められている。
9、高年齢者雇用推進者の設置努力
10、継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲を、グループ企業まで拡大する仕組み。
11、継続雇用制度の対象者を限定する基準《労使協定》の仕組みを、就業規則でも廃止、
変更へ

参照:

「今後の高年齢者雇用に関する研究会」報告書概要:労働政策審議会 職業安定分科会 
雇用対策基本問題部会
*支給開始年齢について資料1(第4回社会保障審議会年金部会H23.10.11)等

平成25年3月1日 以前。

  社会労働保険に関する概要(改正等に留意のこと)

  Ⅰ 昭和36年4月、国民皆年金制の実現(自営業者等中心)
  昭和60年、全国民に共通給付される基礎年金の創設、厚生年金の2階部分報酬比例年金給付制度
  ・国民全体で公平に負担する社会保険方式(半分は国庫負担:国民年金法改正)による世代間扶養、 所得再分配を目指して、20歳以上60歳未満の人はすべて(無業者も)強制的に加入となった。
  ・国民年金保険料(定額)は受給の段階では名称が老齢基礎年金となる。

Ⅱ社会保険(健康保険と厚生年金保険)と労働保険(労災保険と雇用保険)
・保険加入時期は入社した日からである。(試用期間経過後ではない)
・法人(営利、NPO、行政書士法人等も)では従業員1人でも加入義務。
・常時5人以上の従業員が働く個人事業主も加入義務(常時5人未満で、かつ個人事業主は義務なし。
但し、国 保、国民年金へ加入)
・臨時雇いでも2カ月以上働く人は加入義務等。
・1人親方等の特別加入制有り

1)社会保険(健康保険と厚生年金保険)
・共に雇用形態(パート等)に関わらず1日又は1週間、かつ1カ月の労働時間、労働日数が概ね、正社員の3/4以上あること。
・共に、標準報酬月額(給与)と労働者(社員)の年齢(40歳以上65歳未満は介護保険2号被保険者)で 決まり、保険料額表にて、労働者と事業主が折半する。2年前まで、遡及出来る。
A、健康保険・・・協会けんぽに手続き。
B,厚生年金保険・・・年金事務所に手続き。 (旧社会保険事務所)
  加入と厚生年金保険料の支払いは70歳まで可
2)労働保険(労災保険と雇用保険:社長は原則、加入不可)
・労働者を雇った場合に加入するもので、雇用形態(パート等)に関わらず加入し、保険料は事業の種類ごと に決めてある。
A、労災保険{労働者災害補償保険法:仕事や通勤中のケガ等}は、事業主が全額負担する。  手続きは、労働基準監督署へ。
B、雇用保険(旧失業保険)は労災保険に比して、1週間の所定労働時間が20時間以上あり、かつ、継続31日以上の雇用が見込まれ、さらに、65歳未満の人が加入する。
 一般の事業なら保険料の負担割合は事業主(0.85%)と労働者(0.5%)の双方(計1.35%)で負担する。
 手続きは、ハローワーク(公共職業安定所)へ

  Ⅲ、育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律。(H.22年6月改正施行)
     (H.24年7月改正施行:従業員100人以下も含めた全ての企業)
     *今日、少子高齢化社会の到来により、将来を見て、男女共同参画の下で、育児を充実させ、かつ、高齢者介護も充実させようと、労働者に休暇を認める義務を課した。
職業生活と家庭生活の両立支援を実現するために企業や社会全体の活力を促した法令といえる。
     休業するにはいずれも、申し出が必要であり、事業主は原則(1年未満の労働者等 組合、協定で除かれた人以外)この申し出を拒めない。
1歳、3歳、就学が育児時基準。運用はむろん就業規則に定めることが必要。
(*就業規則は常時10人以上(パート等含め)の社員が居れば、事業場単位で作成、周知義務)
・育児休業できるものは、1歳に満たない子と同居・養育する者。
・父母がともに育児休業を取得する場合に取得可能期間を、子が1歳から1歳2カ月に達する迄に延長する。 保育所に入所できない等一定の場合は1歳半迄延長が可能である。
・子の看護教育の申し出ができる者は、小学校就学の始期に達する迄の子を養育する労働者に、子1人ならば年、5労働日、2人以上は年、10労働日を限度に休業できる。子が負傷した場合等である。
     ・介護休業できる者は、要介護状態にある家族(2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする人)があり 介護する男女社員。年5労働日、2人以上は10労働日を限度に介護休暇できる。(通院付添等)
対象家族1人に付き通算して93日迄とする。
・介護の所定労働時間短縮等の措置(介護休業と合わせて93日迄)
・事業主は3歳に満たない子を養育する男女労働者からの請求があれば、所定労働時間を超えて労働させてはならない。(所定外労働の免除義務化)
・事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者で、育児休業をしていない者は、申し出により、
所定労働時間を短縮(1日原則6時間含む)することで、就業しつつ子を養育する措置を講じなければならない。
(短時間勤務制度の義務化=所定労働時間の短縮措置等)
・小学校就学の始期に達する迄の子を養育する労働者(常時介護者も同じ)の請求があれば、
制限時間(1月24時間、1年150時間)を超えて労働時間を延長してはならない。
・・・労基法36条第1項に規定の時間外労働の制限。また、事業に支障がないのであれば、午後10時から午前5時までの間に労働させてはならない。・・・深夜業の免除
*  申し出等での不利益取り扱いの禁止。転勤への要配慮。
* 労働局長の解決援助、調停制度の設置、更には、公表制度、虚偽報告者等への過料の創設。{実効性の確保}

  Ⅳ、年金分割、協議離婚書について
  協議離婚書作成に伴う、財産分与、親権等・面接交渉権、養育費、
強制執行認諾約款等に関して年金分割も重要な事項である。
年金分割(H.19年4月合意分割施行、H.20年4月強制3号分割施行:厚生年金保険法施行規則に基づく)
     A・年金制度は3階建の住居に例えられる。{1階、(国民年金)+2階、(厚生・共済年金)+3階、(基金・職域加算)}
     1)老後の女性年金額平均は男性の半分以下という。
2)平成16年度の改正で離婚後に夫の年金の一部を分割できる離婚年金分割は平成19年4月施行された。
3) 結婚中に支払った保険料は夫妻が共同で納めたものとみなして、「標準報酬記録」を按分して、
婚姻期間中の標準報酬を再評価して、総額の多い人が、少ない人に対して標準報酬記録の一部をあげて、将来の年金額を計算するのが年金分割である。分割の結果は将来に向かってのみ効力がある。
4) 年金分割は夫妻の合意が必要で2分の1までを限度として話し合いで決める。不調なら家裁決定。
5) 専業主婦なら夫の支払った保険料の1/2が上限だが、共稼ぎだと、夫婦の支払った保険料合計の
1/2が上限になる。妻の稼ぎが多ければ、その分が夫に分割されることもある。
6) 対象期間は結婚してから離婚するまでで、内縁関係期間は原則無理である。
・ 分割対象は(2階部分にあたる)厚生年金と共済年金で、自営業者の基礎年金(1階部分の国民年金)
や、職域加算(3階部分)は対象外で分割できない。報酬比例部分の額だけが影響を受ける。
・ 25年加入等が、受給要件である。年金分割された期間は、受給要件を見るときの期間に算入できない。つまり、記録を分けてもらい増えた「離婚時みなし被保険者期間」は年金を受ける資格の有無を見るとき等の被保険者期間には含まれない。
・ 再婚しても影響なく、自分の受給年齢にならないと、もらえない。すでに年金の受給権がある人は、分割請求日の翌月分から年金額が改定される。
7) 離婚してから2年以内に手続が必要である。離婚した日の翌日から2年で消滅時効にかかる。
8) 平成19年4月以前の期間や第3号被保険者以外の期間については、やはり、話し合いで決める。

B・3号年金分割(平成20年4月施行、H20年5月以降の離婚等から適用:2階部分のみ分割、かつ婚姻期間)
1)第3号被保険者であった人の請求があれば、分割できて、相手の同意は不要で、2分の1ずつとして、自動的に分割される。
・第3号被保険者とは、厚生年金や共済年金に加入しているサラリーマン(第2号被保険者)に扶養されている配偶者(妻又は夫)で、専業主婦(夫)、パート主婦(夫)である。
・自分で保険料を納めずとも老後に基礎年金を受給できることに批判もあるが。
2)対象となる期間は、平成20年4月1日以降の第3号被保険者期間である。平成20年4月1日以前の第3号被保険者期間は、自動分割されないので、やはり、話し合い、合意か、家裁の決定で決めることになる。
なお、強制分割といっても、その請求の手続きは必要である。分割を受け、受給年齢に達しても、現実に受給するには25年以上の加入資格が必要である。
1か月でも不足しないこと。

Ⅴ、外国人の社会保険、労働保険加入について
・原則、1年以上在留の外国人は、日本人とほぼ同様に適用される(オーバーステイも含む)。
・オーバーステイ外国人が労災事故を起こした場合、オーバーステイ外国人の雇用は不法就労助長罪になる。が労災事故の保障義務はある。
・ 雇用契約の際、雇用保険・(労災保険)、健康保険・厚生年金保険への加入義務があることを
外国人の母国語と日本語の両方で表記した文書で明示する。
・ 帰国する場合、厚生年金保険の加入期間が、6ヵ月以上あると、加入期間に応じた「脱退一時金」の
支給を請求できる。帰国後2年以内に請求する。
ただし、外国人「脱退一時金」の支給を受けた場合、社会保障協定を結ぶ各国においては、年金加入期間の通算はされない。
・ 外国人には総支給額と手取り金額が同じと考える誤解がないように控除等につき正確に伝えることが
大切。
・社会保険の加入は、正社員の労働時間の4分の3以上あれば加入義務となるが、就労資格取得要件の日本人と同等以上の報酬を受けることの要件を欠いてはならない。

*なお、社会保険労務士法(特別法)では、その社会保険等相談業務は非独占規定であり、現、行政書士(一般法)も取り扱える。

元、社会保険委員(都知事委嘱・過去16年半)
日本行政書士会連合会 社会労働保険業務取扱会員
                       平成21年11月・平成24年7月追記

スポンサード リンク