その他

労働基準法違反の契約

労働基準法に定める基準に満たない労働条件は無効であり、無効となった部分は、同法に定める基準が適用されます。

<例>
「年次有給休暇は雇入の日から起算して3年目から与える」 と就業規則等で規定しても無効となり、労働基準法第39条に基づいて 「年次有給休暇は6ヶ月経過後から与える」 に自動的に修正されます。

金品の返還

労働者の死亡または退職の場合に、権利者から請求があったときには、7日以内に、賃金の支払いをし、積立金、保証金、貯蓄金その他名称にかかわらず労働者の権利に属する金品を返還しなければなりません。

・7日以内の賃金の支払い
所定支払日が到来しなくても、支払う必要があります。(退職金は、退職金制度に基づく支払期日に支払えばよいことになっています。)

・7日以内の金品の返還
もともと労働者に所有権がある金銭と物品で、労働関係に関連して使用者が預り、または保管していたものを返す必要があります。

・労使間に争いがあるとき
賃金または金品について、その有無、額等に争いがある場合には、異議のない部分についてのみ7日以内に支払い・返還をする必要があります。

なお、ここでいう権利者とは、
・労働者の死亡の場合→相続人
・労働者の退職の場合→労働者本人
となります。

(法第22条)

制裁規定の制限

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合、その減給1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えることはできません。また、1賃金支払期に数回の違反行為があっても、その減給の総額は、1賃金支払期に支払われる賃金の10分の1以内でなければなりません。

(法第91条)

法令等の周知義務

使用者には、労働基準法及び同法に基づく命令の要旨、就業規則、法に基づく労使協定及び裁量労働制にかかる委員会の決議内容を労働者に周知する義務が課されています。
周知方法については、施行規則第52条の2により、以下の方法が示されています。

a.常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付ける方法
b.労働者に書面を交付する方法
c.磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者がその記録の内容を常時確認できる機器を設置する方法

(法第106条、施行規則第52条の2)

産前産後等

・産前産後
1.6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定(※1)の女性が休業を請求した場合には、その者を就業させてはいけません。また、妊娠中の女性が請求した場合には、他の軽易な作業に転換させなければなりません。
2.産後8週間(※2)を経過しない女性を就業させてはいけません。但し、産後6週間を経た女性が請求した場合には、医師が支障ないと認めた業務に就業させることは差し支えありません。
※1 出産当日は産前6週間に含まれます。
※2 産後休業は女性従業員から請求がなくても与えなければなりません。

・妊産婦の労働時間・休日労働の制限
1.妊産婦(妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性)が請求した場合には、時間外・休日労働をさせてはいけません。
2.変形労働時間制の適用を受けていても、妊産婦が請求した場合には、1日8時間、1週40時間を超えて労働させることはできません。

・育児時間
生後満1年に達しない生児を育てる女性から請求があった場合には、休憩時間のほかに、1日2回それぞれ少なくとも30分の生児を育てるための時間を与えなければなりません。

・生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置
生理日の就業が著しく困難な女性が休暇(半日、時間単位でも足ります)を請求したときは、その者を就業させてはいけません。

(法第65条、第66条、第67条、第68条)

労使協定等の労働者の過半数代表者の選出

労使協定の労働者側の締結当事者は、
・その事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合(過半数労働組合)がある場合
→その労働組合
・過半数労働組合がない場合
→労働者の過半数を代表する者(「過半数代表者」)
が締結当事者となります。

1.管理監督者でないこと及び投票などで選出されることが条件
過半数労働組合がない事業場における「過半数代表者」は、次のa及びbのいずれにも該当する者でなければいけません。
a.法第41条第2号の監督または管理の地位にある者でないこと
b.法に規定する労使協定の締結などを行う者を選出することを明確にして実施される投票、挙手などの方法による手続により、選出された者であること

2.過半数代表者の不利益取扱いを禁止
労働者が過半数代表者であること、過半数代表者になろうとしたこと、過半数代表者として正当な行為をしたことなどを理由として解雇、賃金の減額、降格等労働条件について不利益な取扱いをすることも禁止されています。(施行規則第6条の2)
過半数代表者としての正当な行為には、法に基づく労使協定の締結の拒否、1年単位の変形労働時間制の労働日ごとの労働時間についての不同意等も含まれます。
こうした条件は、労働基準法で定めるすべての労使協定や就業規則作成・変更時の意見聴取等において、過半数代表者を選出する場合に適用されます。

(施行規則第6条の2)

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