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裁量労働制

裁量労働制とは、業務の性質上その遂行の手段や時間の配分などに関して使用者が具体的な指示をせず、実際の労働時間数とは係りなく、労使の合意で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。

裁量労働制には、次の2種類があります。

  1. 専門業務型裁量労働制 デザイナー、システムエンジニアなど専門的な19の業務に就く者が対象。
  2. 企画業務型裁量労働制 事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務を行うホワイトカラー労働者が対象。

(法第38条の3、第38条の4)

専門業務型裁量労働制導入時に労使協定で定める事項

専門業務型裁量労働制を導入する際に労使協定で定める事項は以下のとおりです。

  1. 対象業務の範囲
  2. 対象労働者の範囲
  3. 1日のみなし労働時間数
  4. 業務の遂行方法、時間配分などについて、従事する労働者に具体的な指示をしないこと
  5. 労使協定の有効期間(3年以内が望ましい。)
  6. 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた健康・福祉確保措置
  7. 苦情処理に関する措置
  8. 6および7の措置に関する労働者ごとの記録を有効期間中および当該有効期間後3年間保存すること

企画業務型裁量労働制の要件

企画業務型裁量労働制の要件は以下のとおりです。

  1. 導入できる事業場
    次項(2)の対象業務が存在する事業場
  2. 対象業務
    事業の運営に関する事項(対象事業場の属する企業等に係る事業の運営に影響を及ぼす事項、及び当該事業場に係る事業の運営に影響を及ぼす独自の事業計画や営業計画をいいます。)についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段および時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務
  3. 決議要件
    委員の5分の4以上の多数による合意
  4. 労使委員会
    労働者代表委員について、改めて事業場の労働者の過半数の信任を得ることとする要件を廃止。
  5. 労使委員会の設置届
    廃止
  6. 定期報告事項
    対象労働者の労働時間の状況に応じた健康・福祉を確保する措置についてのみ報告
  7. 決議の有効期間
    1年以内とする暫定措置を廃止(3年以内とすることが望ましい。)

裁量労働制とフレックスタイム制の違い

裁量労働制とフレックスタイム制、似ているようで違います。

裁量労働制は、決められた時間を働いていてもいなくても、1日一定の時間だけ働いたことにするしくみです。少ししか働いてない場合でも一定の時間働いたことになる反面、一定の時間を超えて多く働いた場合であっても、一定の時間だけしか働いたことにはなりません。

一方、フレックスタイム制は、勤務する時間帯はある程度自由に動かせますが、実際に働いた時間分しか働いたことにはなりません。

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