photo3-2

遺言書判例14-遺言無効確認等請求事件、不当利得返還等請求事件(平成26年12月25日)

裁判年月日 平成26年12月25日
裁判所名 東京地裁
事件番号 平24(ワ)24269号 ・ 平24(ワ)25715号
事件名 遺言無効確認等請求事件、不当利得返還等請求事件
裁判結果 主位的請求棄却、予備的請求認容(第1事件)、主位的請求棄却、予備的請求一部認容(第2事件)

平成24年(ワ)第24269号 遺言無効確認等請求事件(第1事件) 
平成24年(ワ)第25715号 不当利得返還等請求事件(第2事件) 
  
主文
 1 第1事件・第2事件被告は,第1事件・第2事件原告X1に対し,別紙物件目録記載1の土地の亡Y1持分14分の13(甲区順位3番で登記した持分)について,平成23年12月3日遺留分減殺を原因として,その12分の1(本件土地1全体の168分の13)の持分移転登記手続をせよ。
 2 第1事件・第2事件被告は,第1事件・第2事件原告X2に対し別紙物件目録記載1の土地の亡Y1持分14分の13(甲区順位3番で登記した持分)について,平成23年12月3日遺留分減殺を原因として,その12分の1(本件土地1全体の持分168分の13)の持分移転登記手続をせよ。
 3 第1事件・第2事件被告は,第1事件・第2事件原告X1に対し,別紙物件目録記載2の土地について,平成23年12月3日遺留分減殺を原因として,持分12分の1の持分移転登記手続をせよ。
 4 第1事件・第2事件被告は,第1事件・第2事件原告X2に対し,別紙物件目録記載2の土地について,平成23年12月3日遺留分減殺を原因として持分12分の1の持分移転登記手続をせよ。
 5 第1事件・第2事件被告は,第1事件・第2事件原告らに対し,それぞれ52万1330円及びうち別紙「遅延損害金起算日と金額」の各「賃料」欄記載の金額に対する各「年」「月」「日」欄記載の日の翌日から支払済みまで各年5分の割合による金員を支払え。
 6 第1事件・第2事件原告らの主位的請求をいずれも棄却する。
 7 第1事件・第2事件原告らのその余の予備的請求をいずれも棄却する。
 8 訴訟費用は第1事件・第2事件被告の負担とする。
 9 この判決は,第6項に限り,仮に執行することができる。
 
 
第2 事案の概要
 1 事案の概要
 本件は,A(平成19年9月28日死亡)の子である原告X1及びAの子である亡B(平成22年1月21日死亡。以下「B」という。)の養子として縁組の届け出をした原告X2が,Aの妻でありBの母親であるY1(平成26年6月7日死亡)の訴訟承継人である被告に対し,主位的にA名義の本件各土地を含む全ての財産をY1に贈与する旨の本件遺言が無効であることの確認及び本件遺言に基づいてなされた本件各土地についてなされたY1への持分又は所有権移転登記手続の抹消登記手続を求め,予備的に,仮に本件遺言が無効でないとしても,原告らはY1に対して遺留分減殺請求の意思表示をしたとして,被告に対し,原告ら各自に対する遺留分減殺を原因とする本件土地1のY1持分14分の13(甲区順位3番で登記した持分)の12分の1(本件土地1全体の168分の13)の持分及び本件土地2の持分12分の1の各移転登記手続を求め(第1事件),原告らが,Y1の訴訟承継人である被告に対し,主位的に,本件遺言が無効であるから原告らは本件土地2の法定相続分各12分の1を相続した,又は,仮に本件遺言が無効でないとしても本件遺言に記載のない本件土地2の賃料債権については原告ら各自が法定相続分の6分の1ずつ相続したと主張して,本件土地2の平成19年11月分から平成26年5月分までの賃料収入合計1408万5474円の6分の1に相当する245万0439円について,原告ら各自が取得すべきであったのにこれをY1又は被告が取得したから,被告はY1の不当利得返還債務を相続し又は自ら不当利得返還債務を負うとして,被告に対し,原告ら各自に対して同額の不当利得返還及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年9月23日から民法704条前段所定の利息の支払を求め,予備的に,仮に,原告らの第2事件の主位的請求が認められないとしても,原告らはY1に対して遺留分減殺請求の意思表示をしたとして,被告に対し,平成23年11月分から平成26年4月分までの賃料収入合計656万1116円の12分の1に相当する54万6759円及びうち別紙「遅延損害金起算日と金額」の各「賃料」欄記載の金額に対する各「年」「月」「日」欄記載の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(第2事件)事案である。

第5 結論
 よって,原告らの第1事件主位的請求及び第2事件主位的請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,原告らの第1事件予備的請求はいずれも理由があり,第2事件予備的請求は52万1330円及びうち別紙「遅延損害金起算日と金額」の各「賃料」欄記載の金額に対する各「年」「月」「日」欄記載の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,第2事件予備的請求のその余の請求は棄却することとし,訴訟費用については民事訴訟法61条,64条ただし書を適用して,主文のとおり判決する。
 (裁判官 吉川泉)

スポンサード リンク