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遺言書判例6-遺言無効等請求事件(平成27年3月30日)

裁判年月日 平成27年 3月30日
裁判所名 東京地裁
事件番号 平23(ワ)41009号
事件名 遺言無効等請求事件

主文
 1 本件訴えのうち,原告と被告らとの間で,東京法務局所属公証人A作成に係る平成15年第533号遺言公正証書による亡甲山Bの遺言が無効であることの確認を求める部分を却下する。
 2 原告の主位的請求のうち,前項を除く部分をいずれも棄却する。
 3 被告甲山Y1は,原告に対し,1700万2383円を支払え。
 4 原告のその余の予備的請求を棄却する。
 5 訴訟費用中,原告及び被告甲山Y1に生じた費用については,これを10分し,その3を被告甲山Y1の負担とし,その余を原告の負担とし,その余の被告らに生じた費用については,原告の負担とする。
 6 この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。
 
 
事実及び理由

第2 事案の概要
 1 本件は,亡甲山B(以下「B」という。)の相続人である原告が,①主位的に,平成15年及び平成17年に作成された,Bが相続人である被告らに有利に相続分を指定する旨の各公正証書遺言について,無効であることの確認を求めるとともに,(a)被告甲山Y1(以下「被告Y1」という。)に対し,同人の単独名義の所有権移転登記手続が行われている不動産について,法定相続分6分の1の共有持分に基づき,その抹消登記手続を求め,その他の遺産である別紙遺産目録記載の借地権,河川敷地占用権,預貯金及び出資金について原告が法定相続分6分の1の準共有持分ないし分割債権を有することの確認を求め,さらに,別紙払戻金等一覧表記載の財産を被告Y1が不法に領得したと主張して,Bが被告Y1に対して有していた不法行為に基づく損害賠償請求権のうち法定相続分に当たる942万9208円の支払を求め(主位的請求1),(b)上記(a)と選択的に,被告Y1は少なくとも別紙払戻金等一覧表記載の特別受益を得ており,これはBの遺産の総額に対する被告Y1の法定相続分6分の1を超えるから被告Y1は別紙遺産目録記載の財産に対して相続分を主張できないとして,被告Y1に対し,相続分5分の1の共有持分に基づき,上記抹消登記手続を求めるとともに,上記借地権,河川敷地占用権,預貯金及び出資金について原告が相続分5分の1の準共有持分ないし分割債権を有することの確認を求め(主位的請求2),②予備的に,平成17年の公正証書遺言が有効であるとした場合,被告Y1が相続分の指定を受けた現金及び預貯金に対する遺留分減殺請求権の行使に基づき,被告Y1に対し,Bの遺産と特別受益との合計額2億4867万9072円((a)別紙遺産目録記載の財産1億8719万3709円,(b)別紙払戻金等一覧表記載の財産に係る被告Y1に対する損害賠償請求権5657万5253円又は同額の特別受益,及び(c)別紙特別受益(追加分)一覧表記載の特別受益491万0110円の合計額)に対する遺留分12分の1に当たる2072万3256円の支払を求めた(予備的請求)事案である。

第6 結論
 よって,主位的請求1及び2のうち,平成15年公正証書遺言が無効であることの確認を求める部分は,不適法であるから却下し,その余の部分は,いずれも理由がないから棄却し,予備的請求については,遺留分減殺請求権の行使に基づき,1700万2383円の返還を求める限度で理由があるからその限度で認容し,その余は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 千葉和則 裁判官 伊藤拓也 裁判官 西臨太郎)

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