遺言書の基礎知識
遺言書について
遺言書がない場合、相続人全員が参加する遺産分割協議が必要となってしまいます。
そのため、相続人の間で協議が成立しない限り、遺産を分割することができません。
そこで、分割協議の手間を省く、相続人間の争いを未然に防ぐ、法定相続分以外の分割内容で相続人に財産を分配する、といった目的のため、遺言書を作成することとなります。
遺言書を作成しておいたほうが良い場合の例として、以下があります。
子供のいない夫婦の場合
両親やその尊属が全員死亡している場合、兄弟姉妹が相続人となります。
そのため、手続きが煩雑となるだけでなく、争いが生じやすくなるとも言えます。
推定相続人の間で既に争いがある場合(争いになりそうな場合)
このような場合、遺言書があることで、遺言書のとおりに遺産を分割することになるため、争う余地がなくなります。
ただし、遺言執行者がいない場合や、遺言書で遺留分を考慮していない場合、手続きの際に、少々問題となることもあります。
推定相続人がいない場合
相続人がいない場合、遺産は、死亡者と特別の縁故があった者や、死亡者の療養看護に努めた者がいればその者に、いない場合は国庫に帰属します。
遺言書の種類
遺言書の作成方法には、以下のような種類があります。
各方法には、長所/短所がありますので、状況に合わせ、作成されることをお勧めします。
(1)自筆証書遺言
遺言者が全文を自筆します。
遺言内容、年月日、氏名を記入し、押印(認印でも構いません)するだけです。
長所は、費用がかからず、簡便に作成できる点にあります。
短所として、記載内容が法律上有効であるかどうかわからないこと、遺言者の死後、遺言書が有効に作成されたかどうか(遺言者の自筆であるかどうか、作成時に意思能力があったかどうか、遺言者の意思で書かれたものか、など)が争われる可能性があること、遺言書の紛失の心配があること、家庭裁判所での検認手続きが必要となり、相続人全員に遺言書の内容が知られてしまうこと、が挙げられます。
(2)公正証書遺言
公証役場において遺言書を作成します。
長所として、遺言内容を公証人が確認し、原本が公証役場に保管されるため、遺言内容に不備がないこと、遺言書の紛失の心配がないこと、遺言内容を他の相続人に知られる恐れがないこと、が挙げられます。
短所は、作成費用がかかる点です。
(3)秘密証書遺言
あらかじめ遺言書を作成しておき、公証役場では、遺言書を作成したことの確認と遺言書の保管のみを行ないます。公証人は、遺言内容の確認を行ないません。
長所として、遺言内容を公証人や証人に知られないこと、遺言書の紛失の心配がないこと、が挙げられます。
短所として、記載内容が法律上有効であるかどうかわからないこと、作成費用がかかること、が挙げられます。
【リンク集】
日本公証人連合会
法務省
日本行政書士会連合会
埼玉県行政書士会
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