特別方式の遺言

特別方式は、普通方式遺言が不可能な場合の遺言方式で、病床や遭難など特別な事情のときに用いられるものです。危急時遺言と隔絶地遺言があります。

特別方式で作成した遺言は、普通方式遺言が可能になってから6ヶ月間生存した場合、遺言は無効となります。

危急時遺言

死期が迫った遺言者が口頭で遺言をし、証人がそれを書面にする遺言の方式です。一般危急時遺言と船舶遭難者遺言があります。

一般危急時遺言(一般臨終遺言)

疾病や負傷で死亡の危急が迫った人の遺言形式。証人3人以上の立会いが必要です。遺言者が証人のうちの1人に口頭で遺言内容を伝え、その証人が筆記して書面を作成し、遺言者および他の証人に内容を確認します。各証人が署名・押印します。20日以内に家庭裁判所で確認手続を経ない場合、遺言が無効となるので注意が必要です。

難船危急時遺言

船舶や飛行機に乗っていて死亡の危急が迫った人の遺言方式。証人2人以上の立会いが必要です。遺言者が証人のうちの1人に口頭で遺言内容を伝え、その証人が筆記して書面を作成し、他の証人が内容を確認します。各証人が署名・押印します。遅滞なく家庭裁判所で確認手続を経る必要があります。

隔絶地遺言

遺言者が一般社会との交通が断たれた場所にいるため、普通方式による遺言ができない場合に認められる方式です。一般隔絶地遺言と船舶隔絶地遺言があります。

一般隔絶地遺言

伝染病による行政処分によって交通を断たれた場所にいる人の遺言方式。伝染病以外に、刑務所の服役囚や災害現場の被災者もこの方式で遺言をすることが可能です。作成の際、警察官1人と証人1人の立会いが必要です。家庭裁判所の確認は不要です。

船舶隔絶地遺言

船舶に乗っていて陸地から離れた人の遺言方式。船長または事務員1人と、証人2人以上の立会いが必要です。家庭裁判所の確認は不要です。

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