特別受益と寄与分

特別受益

相続人の中で、被相続人から特別の利益(特別受益)を受けた者がいた場合、その特別の利益を無視して残された遺産を単純に法定相続分どおりに分けると、相続人の間で不公平が生じます。

そこで、相続における実質的公平を図るため、特別受益を受けた相続人(特別受益者)は、遺産分割で承継するべき財産を前渡しされたものとして考えます。

なお、特別受益に該当するものについては範囲が決まっており、

  1. 遺贈
  2. 婚姻・養子縁組のための贈与
  3. 生計の資本として受けた贈与

これらだけが該当します。生前贈与の全てが特別受益に該当するわけではありません。

その相続人が遺産分割にあたって受けるべき財産額の前渡しを受けていたものとして考えます。

寄与分

相続人の中で、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者については、相続における実質的公平を図るため、相当額の財産を取得させる寄与分の制度が設けられています。

これは1980年(昭和55年)の民法改正で設けられたもので、翌年以降に相続が開始した遺産分割に適用されます。

寄与分が認められるのは、相続人が被相続人に対して以下のようなことを行っていた場合です。

  1. 被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付をした
  2. 被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持または増加につき特別の寄与をした

なお、寄与分を主張できるのは相続人に限られます。

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