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時間外労働・割増賃金

割増賃金の支払い

時間外、深夜(原則として午後10時~午前5時)に労働させた場合には2割5分(25%)以上の、法定休日労働をさせた場合は3割5分(35%)以上の割増賃金を支払う必要があります。

なお、土曜日と日曜日を休日とするような週休2日制を採用している事業場については1週間に休日が2日あるので、どの休日の労働に対して3割5分を支払う(法定休日労働となる)のかを就業規則などで明確にしておくようにしましょう。

※割増賃金の計算の基礎となる賃金には、「家族・通勤手当」、「別居手当」、「子女教育手当」、「臨時に支払われた賃金」、「住宅手当」等は算入しません。なお、割増賃金等の計算の基礎になる賃金に含まれるかどうかは、名称ではなく内容により判断されます。

(法第37条)

1ヶ月60時間を超える場合はさらに割増賃金が引き上げされます

平成22年4月の法改正により、1ヶ月60時間を超える法定時間外労働に対しては、使用者は50%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
(中小企業は適用が猶予されます。詳細はページ最下部にて。)

深夜労働の場合

深夜の割増賃金は35%ですが、深夜の時間帯に1ヶ月60時間を超える法定時間外労働を行わせた場合はどうなるのでしょうか。

この場合、両方の割増が適用され、「深夜割増賃金率25%以上+時間外割増賃金率50%以上」となり、合計で75%以上の割増となります。

法定休日労働の場合

1ヶ月60時間の法定時間外労働の算定には、法定休日に行った労働は含まれません。それ以外の休日に行った法定時間外労働は含まれます。

法定休日については、休憩・休日・休業手当のページで解説しています。

1ヶ月60時間を超える場合の代替休暇制度

1ヶ月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するため、割増引上げ分の割増賃金の代わりに有給の休暇を付与する制度(代替休暇)を設けることができます。

こちらも平成22年4月の法改正により制定されました。

「36協定」の締結

法定の労働時間を超えて労働(法定時間外労働)させる場合、または、法定の休日に労働(法定休日労働)させる場合には、あらかじめ労使で書面による協定を締結し、これを監督署長に届け出ることが必要です。この協定が法第36条に規定されていることから、通称「36協定」といいます。

法定労働時間とは、1日8時間、1週40時間(一部の特例措置対象事業場については44時間)と定められていますが、変形労働時間制を採用する場合を除いて、この時間を超えて労働させる場合は時間外労働となります。

また、法定休日とは1週間に1日の休日(変形休日制を採用する場合は4週4日)と定められていますが、この休日に労働させる場合は休日労働となります。

但し、満18才に満たない者(年少者)については法第36条が適用できませんので、年少者については36協定があっても法定時間外労働及び法定休日労働はできません。 また、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性(妊産婦)が請求した場合には、法定時間外労働及び法定休日労働をさせることはできません。

36協定は、事業場単位で締結し届け出る必要があります。1つの会社で別々の場所に工場・支店などがある場合は、通常はその工場・支店などがそれぞれ1つの事業場にあたりますので工場・支店などごとに36協定を締結し、それぞれの所在地を管轄する監督署長に届け出る必要があります。

延長時間について

36協定の延長時間は、1日、1日を超え3ヶ月以内の期間、1年間、の3つについて協定しなければならないことになっています。

・1日の延長時間の限度

危険有害業務で、法令で定める業務に従事する者の時間外労働の上限は1日2時間とされていますが、この具体的な業務は以下のとおりとなっています。

  • 坑内での労働
  • 多量の高熱物体取扱 著しく暑熱な場所の業務
  • 多量の低温物体取扱 著しく寒冷な場所の業務
  • エックス線などの有害放射線に曝される業務
  • 土石などのじんあい 粉末を著しく飛散する場所の業務
  • 異常気圧下業務
  • さく岩機などの使用による身体の著しい振動業務
  • 重量物取扱などの重激業務
  • ボイラー製造などの強烈な騒音発生場所の業務
  • 鉛・水銀などの有害物発散場所の業務

これら以外の業務について、1日の延長時間の限度についての規制は原則としてありません。

・1日を超える期間の延長時間の限度

  1. 「1日を超え3ヶ月以内の期間」と「1年間」についての延長時間は、表1のとおりその期間ごとに限度時間が決められています。ただし、「1日を超え3ヶ月以内の期間」で表1の期間以外の場合、例えば、「1箇月を超え2箇月未満の日数を単位する期間」については81時間に当該日数を60で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が45時間を超える場合は45時間)で、その時間に1時間未満の端数があるときは、これを1時間に切り上げた時間が限度時間になります。

    表1)延長時間の限度

表1)延長時間の限度
期間
一般労働者
(右の欄以外の労働者)
1年単位の変形労働時間制
(期間3箇月超)の
対象労働者
1週間
15時間
14時間
2週間
27時間
25時間
4週間
43時間
40時間
1ヶ月
45時間
42時間
2ヶ月
81時間
75時間
3ヶ月
120時間
110時間
1年間
360時間
320時間

 

  1. 限度時間を超えて時間外労働を行う特別の事情(臨時的なものに限る)が予想される場合には、次のような特別条項付き協定を締結することによって限度時間を超える時間を延長時間とすることができます。
    「臨時的なもの」とは、一時的または突発的に、時間外労働を行わせる必要のあるものであり、全体として1年の半分を超えないことが見込まれるものを指します。
    よって、特別条項付き協定には、限度時間以内の時間を一定期間についての延長時間の原則として定めた上で、限度時間を超えて労働させなければならない特別の事情などを具体的に示す必要があります。 (「臨時的なもの」が限度時間を超えることのできる回数が1年の半分以下であることを協定中に明記すること。)

    <例>
    「一定期間についての延長時間は1箇月30時間(注1)とする。ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期がひっ迫したとき(注2)は、労使の協議を経て(注3)、1箇月50時間(注4)までこれを延長することができる。この場合、延長時間を更に延長する回数は、6回まで(注5)とする。」

    この場合、次の要件を満たしていることが必要です。

    注1: 原則としての延長時間(限度時間以内の時間)を定めること。
    注2: 限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情を出来るだけ具体的に定めること。
    「特別の事情」は、次のア・イに該当するものであること。
    ア.一時的または突発的であること。
    イ.全体として1年の半分を超えないことが見込まれること。
    注3: 一定期間の途中で特別の事情が生じ、原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続きを、協議、通告、その他具体的に定めること。
    注4: 限度時間を超える一定の時間を定めること。
    注5: 限度時間を超えることのできる回数を定めること。

  2. 次の事業または業務には前記の限度時間が適用されません。
    • 工作物の建設等の事業
    • 自動車の運転の業務
    • 新技術・新商品等の研究開発の業務

    その他労働省労働基準局長が指定する事業または業務(郵政事業の年末年始における業務、船舶の改造、修繕に関する業務など) について、1年間の限度時間は表1が適用されます。

育児・休業法に基づく延長時間の限度

小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者または要介護状態の対象家族の介護を行う労働者が請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1ヶ月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせることはできません。

平成22年4月の法改正

「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使で特別条項付き36協定を結ぶ際には、新たに、

  1. 限度時間を超えて働かせる一定の期間(1日を超え3か月以内の期間、1年間)ごとに、割増賃金率を定めること
  2. 1の率を法定割増賃金率(2割5分以上)を超える率とするよう努めること
  3. そもそも延長することができる時間数を短くするよう努めること

が必要になります。これは、平成22年4月1日以降に協定を締結、更新する場合が対象です

1ヶ月60時間を超える法定時間外労働に対する50%以上の割増賃金については、中小企業には、当分の間、適用が猶予されます。

  • 中小企業に該当するか否かは、「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者の数」で判断されます。
  • 事業場単位ではなく、企業単位で判断されます。
  • 法の施行3年経過後に改めて検討することとされています。

猶予される中小企業

業種 資本金の額または
出資の総額
または 常時使用する労働者数
小売業 5,000万円以下 または 50人以下
サービス業 5,000万円以下 または 100人以下
卸売業 1億円以下 または 100人以下
その他 3億円以下 または 300人以下

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