違反転用に対する処分等

違反転用に対する処分等

農地を転用したり、転用のために農地を売買等する場合には、原則として農地転用許可を受けなければなりません。また、許可後において転用目的を変更する場合には、事業計画の変更等の手続きを行う必要があります。

許可を受けないで無断で農地を転用した場合(いわゆる無断転用)や、転用許可に係る事業計画どおりに転用していない場合は、農地法に違反することとなり、許可の取り消しや工事の中止、原状回復等の命令がなされる場合があります。また、違反転用には懲役や罰金という罰則の適用もあります。

農地法の改正により、罰則も強化されました

平成21年12月の法改正により、農地転用が従前より厳しく、厳格になったことは、農地法とはのページにて解説しましたが、厳しくなったのは転用だけではなく、罰則規定も強化されました。

具体的には以下の表のように罰則が強化され、特に罰金額が大幅に上げられました。

罰則  
違反転用 3年以下の懲役または
300万円以下の罰金
(法人は300万円以下の罰金)
3年以下の懲役または
300万円以下の罰金
(法人は1億円以下の罰金)
違反転用における
原状回復命令違反
6ヵ月以下の懲役
または30万円以下の罰金
(法人は30万円以下の罰金)
3年以下の懲役
または300万円以下の罰金
(法人は1億円以下の罰金)

違反転用者とは

上記罰則には違反転用というものがあります。違反転用とはどのようなものを指すのでしょうか。農地法によると、以下のように定められています。

  1. 「農地の転用」(農地法第4条第1項)若しくは「農地又は採草放牧地の転用のための権利移動」(農地法第5条第1項)の規定に違反した者(その一般承継人も含まれます)
  2. 許可に付された条件に違反している者
  3. 違反転用に係る土地について工事その他の行為を請け負った者、またはその工事その他の行為の下請人
  4. 偽りその他不正の手段により許可を受けた者

これらの者には、「許可の取り消し」、「新たな条件を付す」、「工事などの停止」、「原状回復」などの措置が講じられます。

行政代執行制度

行政代執行とは、行政上の強制執行の一種であり、義務者(例:原状回復しなければならない違反転用者)が義務を履行しない場合に、行政庁が代わりに行い、費用を義務者から徴収することをいいます。

これも平成21年12月の法改正により規定されました。

農林水産大臣または都道府県知事は、土地の農業上の確保及び他の公益並びに関係人の利益を衡量して特に必要があると認める場合であって、次のいずれかに該当すると認めるときは、自らその原状回復等の措置の全部または一部を講ずることができます(農地法第51条第3項)。

  1. 原状回復等の措置を講ずべきことを命ぜられた違反転用者が、当該命令に係る期限までに当該命令に係る措置を講じないとき、講じても十分でないとき、又は講ずる見込みがないとき。
  2. 原状回復等の措置を命ずべき違反転用者等を確知することができないとき。
    (この場合、相当の期間を定めて、原状回復の措置を講ずるべき旨及びその期限までに原状回復の措置を講じないときは、農林水産大臣又は都道府県知事が自ら原状回復等の措置を講じ、その措置に要した費用を徴収する旨をあらかじめ公告してから行われます。)
  3. 緊急に原状回復等の措置を講ずる必要がある場合において、原状回復等の措置を講ずべきことを命ずるいとまがないとき。

農林水産大臣又は都道府県知事は、原状回復等の措置の全部又は一部を講じたときは、その要した費用について、違反転用者等に負担させることができます(農地法第51条第4項)。


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