税金と年金
老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金など)は、雑所得として所得税や住民税がかかります。この税金については、年金の支給の際に源泉徴収されます。
税金はかかりますが、給与所得に対する課税と比較して、税負担が軽くなるように配慮されています。
雑所得として扱われる年金の例としては、
- 国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による年金
- 過去の勤務により会社などから支払われる年金
- 外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で(1)に掲げる法律の規定による社会保険又は共済制度に類するもの
が挙げられます。
なお、障害年金、遺族年金には税金はかかりません。
公的年金等に係る雑所得の金額の計算方法
計算式
公的年金等に係る雑所得の金額
= 公的年金等の収入金額の合計額 × 割合 - 控除額
年金を 受け取る人の 年齢 |
公的年金等の収入金額の合計額 | 割合 | 控除額 |
---|---|---|---|
65歳未満 | 公的年金等の収入金額の合計額が700,000円までの場合は、 所得金額はゼロとなります。 |
||
700,001円から1,299,999円まで | 100% | 700,000円 | |
1,300,000円から4,099,999円まで | 75% | 375,000円 | |
4,100,000円から7,699,999円まで | 85% | 785,000円 | |
7,700,000円以上 | 95% | 1,555,000円 | |
65歳以上 | 公的年金等の収入金額の合計額が1,200,000円までの場合は、 所得金額はゼロとなります。 |
||
1,200,001円から3,299,999円まで | 100% | 1,200,000円 | |
3,300,000円から4,099,999円まで | 75% | 375,000円 | |
4,100,000円から7,699,999円まで | 85% | 785,000円 | |
7,700,000円以上 | 95% | 1,555,000円 |
計算例
65歳以上の人で「公的年金等の収入金額の合計額」が350万円の場合、公的年金等に係る雑所得の金額は次のようになります。
公的年金等に係る雑所得の金額
= 3,500,000円 × 75% - 375,000円
= 2,250,000円
つまり、実際には年金を350万円受けていた場合であっても、課税対象としては225万円の雑所得として計算される、ということです。
税額の計算方法
公的年金等から差し引かれる税金の額は、年金額から各種控除を行い、残りの額に5%の税率を掛けた額が所得税額となり、源泉徴収されます。
扶養親族等申告書
扶養親族等申告書は、所得税の課税対象となる方に 日本年金機構から毎年10月下旬に送られてきます。
老齢年金の年金額が108万円以上(65歳以上の方は158万円以上)の方は、「扶養親族等申告書」を提出することで、各種控除を受けることができます。
この申告書を出すと、最低でも、65歳未満で月額9万円、65歳以上で月額13.5万円の所得控除を受けることができるので、ぜひとも提出しましょう。
なお、扶養親族等申告書を出していない場合は、申告書を出した場合に比べて、年金から所得税が多めに天引きされます。(年金の支給額から公的年金等控除額(25%相当)と介護保険料額を差し引いた額の10%が所得税となります。)
もし、不要親族等申告書を出し忘れた場合は、確定申告により精算することになります。
FPのワンポイントアドバイス
扶養親族等申告書は必ず出すようにしましょう。
後で確定申告をすることで戻ってくるとは言え、源泉で20%も惹かれると、そのときの手取りが大きく減ってしまいます。
また、収入が年金だけで、その金額が400万円以下の場合は、そもそも確定申告が不要です。扶養親族等申告書を出すことによって、確定申告の手続きを省ける場合があります。
なお、医療費控除などを適用して所得税の還付を受けたい場合は、いずれにしても確定申告をする必要があります。
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