企業年金

企業年金とは、主に正規雇用者に対して適用され、主に企業が掛け金を負担するものです。

この企業年金は私的年金の一つとされています。つまり、企業年金をかけるかどうかは、企業の自己裁量となるため、企業によって「ある」「ない」が分かれます。ただ、近年は、年金資金の運用の成績が上がらず、企業の業績の低迷や財政悪化により、支給額の減額や制度の終了に踏み切る企業が増える傾向にあります。

企業年金には、主なものとして以下の4種類があります。

  • 厚生年金基金
  • 確定拠出年金
  • 確定給付年金
  • 税制適格退職年金

厚生年金基金

厚生年金基金は、企業年金制度の一つで、厚生年金(厚生年金保険)の「上乗せ部分」です。

いわゆる3階建ての年金構造のうち、1階部分は国民年金(基礎年金)、次の2階部分が厚生年金、そこから更に上乗せしたたものが「厚生年金基金」です。

一般に言う厚生年金とは異なり、加入は義務ではないため、企業により有無が分かれます。


 受給資格

厚生年金基金では1ヶ月以上の加入で受給資格(基本年金部分)を得ることができ、以降は3年、10年の区切りで受給内容が変わります。

また、加入期間3年以上10年未満で途中脱退した場合は、次に就職する他の企業年金制度へ退職一時金相当の金額を移管することもできます。


 年金記録問題

厚生年金基金は私的年金であり、また、給与から天引きして支払われることから、加入していたという自覚がないケースが多く、それにより将来問題が発生する可能性があります。例えば、定年退職や中途退職したが、加入していた自覚がない等で現住所が正確に届けられていない場合は、いわゆる「宙に浮いた年金記録」になってしまう可能性があります。

厚生年金基金の加入記録については、事業主体である企業年金連合会で照会が可能となっています。

確定拠出基金

日本版401kと言われてニュースになったこともありました。掛け金を資金として運用し、その運用結果によって老後の受給額が変わる年金制度です。拠出額(掛け金)は確定していますが、受給額は確定していないのが特徴です。

確定拠出年金は税制上の優遇が大きい反面、年金資金を運用するのは加入者自身であり、個人が運用リスクを負うことになります。

なお、公務員と専業主婦等(第三号被保険者)は加入できません。


確定拠出年金の種類

2種類あり、自営業者等が加入できる個人型年金(個人が掛金を拠出)と、労使合意のもと企業が導入する企業型年金(企業が掛金を拠出)があります。


加入と掛金限度額

確定拠出年金の掛金の額は上限が決まっています。(以下は2011年10月現在の額) 

個人型

国民年金の第一号被保険者について
国民年金基金への加入があればそれと合算し、月額68,000円。

国民年金の第二号被保険者について
勤務先に厚生年金基金、確定給付年金、確定拠出年金、適格退職年金のいずれの制度も無い場合、月額23,000円。

企業型

国民年金の第二号被保険者について
勤務先に厚生年金基金、確定給付年金、適格退職年金のいずれかがある場合、月額25,500円。 いずれも無い場合は月額51,000円。

確定給付基金

確定給付年金(確定給付型企業年金)は、老後の年金の受給額の目標金額を先に決め、将来の受給額から逆算して掛け金を算出する年金制度です。掛け金は企業が拠出しますが、個々の加入者と合意することで加入者も掛け金を付加できます。

先に給付額を確定させるのが特徴で、拠出額が確定している代わりに給付額が運用次第となる確定拠出年金とは逆の性格です。

但し、給付額は完全に確定しているわけではないので注意が必要です。年金資金を企業側が運用し、その結果に左右されることがあります。また、予想以上の少子高齢化が進んだ場合に給付額が変わる可能性もあります。

なお、年金受給資格期間は20年以内と決まっているため、80~85歳には受給を終えることになります。

確定給付年金の種類

確定給付年金には2通りあり、労使合意の「規約」を結び、運用を信託会社等に任せる「規約型企業年金」と、企業が別格法人の基金を新たに設立してそこで運営する「基金型企業年金(企業年金基金)」とがあります。

税制適格退職年金

税制適格退職年金は、企業が退職金の全部または一部を積み立てておく制度です。税制適格年金、適年(てきねん)とも言われます。

昭和37年に企業に退職金制度の導入を図る目的でスタートし、「掛金全額が損金計上できる」というメリットがありました。

しかし、平成14年の確定給付企業年金法の施行に伴い法人税法が改正され、掛金の損金計上が認められなくなりました。

この税制適格退職年金は平成24年3月末度で廃止が決まっているため、現在この制度を利用している企業は、確定給付型年金や確定拠出型年金等に移行します。

 移行の理由、問題点

このようになった理由としては、第一に積立不足が挙げられます。運用利率が高い(よかった)時代に掛け金が計算されていましたが、運用利率の下がってきた今、掛け金を増額しないと積立不足を生じるようになってきました。

また、従業員間で差の少ない年功序列型の年金額となり、成果に応じた給付が困難であることも現状にそぐわない点とされます。


FPのワンポイントアドバイス

注目は確定拠出年金です。401kと呼ばれるもので、アメリカでは老後の生活の1つの柱として普及しています。

日本では、老後の生活を公的年金だけに頼る方が非常に多いのですが、海外では、公的年金と企業年金、資産運用(個人年金など)を組み合わせてやりくりするというのが一般的です。

公的年金に比べれば多少のリスクはありますが、公的年金だけではゆとりある生活が難しいですから、個人年金や資産運用などで老後の資金を作っていくという流れはこれからも増えていくと思われます。

これからは、お金・資産運用・資産形成の勉強が必要になってきますね。

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