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判例17-遺産分割審判等に対する抗告事件(平成22年5月20日)

裁判年月日 平成22年 5月20日
裁判所名 東京高裁
事件番号 平21(ラ)617号
事件名 遺産分割審判等に対する抗告事件
裁判結果 変更 上訴等 確定

主文
 1 原審判を以下のとおり変更する。
 2 抗告人一郎の寄与分を,遺産分割の対象たる遺産の価格の4割と定める。
 3 被相続人の遺産を,以下のとおり分割する。
  (1)抗告人一郎が取得する遺産
 ア 原審判別紙物件目録9から12,15,16及び18(符号1の附属建物(作業所)のみ)の不動産
 イ 原審判別紙動産等目録1から5に記載の動産等
  (2)抗告人花子が取得する遺産
 原審判別紙物件目録1から8,13,14,17,18(符号1の附属建物(作業所)を除く。)の不動産
  (3)抗告人花子は,遺産分割に伴う代償金として,相手方葉子に対し,492万5538円を,相手方二郎に対し,11万3849円を本決定確定の日の翌日から2か月を経過した日限り,支払え。
  (4)抗告人一郎は,遺産分割及び寄与分に伴う代償金として,相手方二郎に対し,481万1689円を本決定確定の日の翌日から2か月を経過した日限り,支払え。
  (5)抗告人花子は,原審判別紙物件目録記載9から12,15及び16の不動産についてされた水戸地方法務局龍ヶ崎支局平成17年7月22日受付第8340号の平成17年4月21日相続を原因とする所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。
 4 手続費用中,鑑定人に支給した98万7000円については,抗告人花子が49万3500円を,抗告人一郎,相手方葉子及び相手方二郎がそれぞれ16万4500円を負担するものとし,その余については,原審及び当審を通じて各自の負担とする。 
 

理由

第1 抗告の趣旨
 抗告人一郎及び同花子は,「原審判主文第1項から第4項を取り消す。本件を水戸家庭裁判所に差し戻す。」との裁判を求めた。

第2 事案の概要
 1 本件は,被相続人甲野太郎が平成17年4月21日死亡した当時に有した財産について,抗告人一郎が,相続人として遺産分割審判の申立て(原審甲事件)をするとともに,寄与分の審判の申立て(原審乙事件)をし,抗告人一郎において,被相続人の農業経営に関してその財産の維持形成について特別の寄与があるとして遺産分割の審判の前に寄与分の処分を定める審判を求めた事案である。
 なお,抗告人一郎は,母である抗告人花子が被相続人の死亡する前及び後に同人名義の預貯金債権などを無断でその返戻を受け,これを費消又は隠匿したとして損害賠償等の請求の民事訴訟を別途提起して係争中である。

第4 結論
 以上の次第で,原審判は上記判断と異なるので相当といえないから,この限度で原審判を主文第2項から第4項のとおり変更することとし,主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 稲田龍樹 裁判官 原啓一郎 裁判官 内堀宏達)

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