photo3-2

判例15-遺留分減殺請求控訴事件(平成26年12月10日)

裁判年月日 平成26年12月10日
裁判所名 東京高裁
事件番号 平26(ネ)1867号
事件名 遺留分減殺請求控訴事件
裁判結果 原判決取消

主文
 1 原判決を取り消す。
 2 被控訴人は,控訴人に対し,原判決別紙不動産目録記載1,2,8ないし16,19ないし23,29ないし37の各不動産について,平成22年4月29日遺留分減殺を原因として,持分5億5569万1854分の1億3829万0088の所有権一部移転登記手続をせよ。
 3 被控訴人は,控訴人に対し,原判決別紙不動産目録記載24ないし26の各不動産について,平成22年4月29日遺留分減殺を原因として,持分77億7968万5956分の1億3829万0088の被控訴人持分一部移転登記手続をせよ。
 4 被控訴人は,控訴人に対し,原判決別紙不動産目録記載27,28の各不動産について,平成22年4月29日遺留分減殺を原因として,持分122億2522万0788分の1億3829万0088の被控訴人持分一部移転登記手続をせよ。
 5 被控訴人は,控訴人に対し,6811万2862円及びうち86万3181円に対する平成22年4月30日から,うち4697万7899円に対する平成23年1月27日から,うち2027万1782円に対する平成25年2月14日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 6 原判決別紙不動産目録中,同目録記載29の不動産の所在に「□」とあるのを「△」と更正する。
 7 訴訟費用は,第1審,差戻し前の控訴審,上告審及び差戻し後の控訴審を通じ,すべて被控訴人の負担とする。
 8 この判決は,第5項に限り,仮に執行することができる。
 
 
事実及び理由

第1 控訴の趣旨
 主文同旨

第2 事案の概要
 1(1) 本件は,亡A(A。平成20年10月22日死亡)の妻である控訴人が,Aがその遺産の全てを長男である被控訴人に相続させる旨の遺言(本件遺言)をしたことにより遺留分が侵害されたと主張して,原判決別紙不動産目録記載の各不動産(同記載3ないし5の各不動産を除く。)の所有権及び共有持分の各一部移転登記手続を求めるとともに,Aの預金合計額の遺留分侵害額に相当する金員(86万3181円)(不当利得)及びこれに対する遺留分減殺請求権を行使した日の翌日(平成22年4月30日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による法定利息並びに原判決別紙不動産目録記載3ないし5の各不動産を被控訴人が売却したことを不法行為とする損害賠償金(4697万7899円)及びこれに対する売却日(平成23年1月27日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求めた事案である。被控訴人は,控訴人の成年後見人が行使した控訴人の遺留分減殺請求権が時効(民法1042条前段)により消滅したなどと主張して争った。

第5 結論
 よって,控訴人の請求(当審における交換的変更によって取り下げられた部分は除く。)は理由があるから認容すべきところ,これを棄却した原判決は失当であって,本件控訴は理由があるから,原判決を取り消した上で控訴人の当該請求を認容し,また,控訴人が当審で交換的に追加した請求も理由があるから,これも認容することとし,原判決別紙不動産目録中同目録記載29の不動産の所在に誤記があることは,証拠(丙5の30)により明らかであるからこれを更正することとして,主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 山田俊雄 裁判官 佐藤美穂 裁判官 德岡治)

スポンサード リンク