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判例14-遺産分割協議書無効確認請求事件(平成26年12月12日)

裁判年月日 平成26年12月12日
裁判所名 東京地裁
事件番号 平24(ワ)15968号
事件名 遺産分割協議書無効確認請求事件
裁判結果 一部却下、一部棄却

主文
 1 本件訴えのうち次の(1)ないし(3)の部分をいずれも却下する。
  (1) 亡Aの遺産のすべて(持戻し分を含む)を具体的かつ詳細に明らかにするよう求める部分
  (2) 亡Aの遺産に関する平成23年7月31日付け遺産分割協議書による遺産分割が成立していないことを確認する部分
  (3) 上記遺産分割協議書の効力如何にかかわらず同書に記載された亡Aの遺産が同人の遺産の一部であることを確認する部分
 2 原告のその余の訴えに係る請求を棄却する。
 3 訴訟費用は原告の負担とする。
 
 
事実及び理由

第1 請求
 1 被告らは,原告に対し,亡Aの遺産のすべて(持戻し分を含む)を具体的かつ詳細に明らかにせよ。
 2 被告らは,原告に対し,亡Aの遺産に関する平成23年7月31日付け遺産分割協議書による遺産分割は成立していないことを確認する。
 3 被告らは,原告に対し,上記遺産分割は無効であることを確認する。
 4 被告らは,原告に対し,上記遺産分割協議書の効力如何にかかわらず,同書に記載された亡Aの遺産が同人の遺産の一部であることを確認する。

第2 事案の概要
 原告と被告らはいずれも亡A(平成20年11月14日死亡。以下「A」という。)の共同相続人であり,Aの共同相続人全員により作成された平成23年7月31日付け遺産分割協議書(以下「本件遺産分割協議書」という。)が存在するところ,本件は,原告が,被告らに対し,①本件遺産分割協議書に記載された遺産以外にも遺産が存在するのに被告らがこれらを隠している旨主張して,Aのすべての遺産を具体的かつ詳細に明らかにするよう求め(請求の趣旨第1項),②本件遺産分割協議書による遺産分割協議(原告が主張する「遺産分割」とは「遺産分割協議」を意味するものと解される。以下も同様である。)が成立していないことの確認を求め(請求の趣旨第2項),③仮に上記遺産分割協議が成立している場合には,予備的に,上記遺産分割協議における原告の意思表示が被告らの強迫によるのでこれを取り消して無効となったこと,原告と被告ら全員の意思表示が公序良俗違反として無効であることを主張して,上記遺産分割協議が無効であることの確認を求め(請求の趣旨第3項。同項の請求は,請求の趣旨第2項を主位的請求とする予備的請求である。),④本件遺産分割協議書に記載された遺産以外にもAの遺産が存在することの確認を求める趣旨で(本件遺産分割協議書に記載された遺産がAの遺産であることの確認を求める趣旨ではなく,本件遺産分割協議書記載の遺産以外にどのような遺産があるか具体的に特定することまではできないが,現時点で判明している本件遺産分割協議書記載の遺産以外にも遺産が存在することの確認を求める趣旨である。),本件遺産分割協議書記載の遺産が同人の遺産の一部であることの確認を求める(請求の趣旨第4項)事案である。
なお,被告らは,本件訴えのうち上記④について,訴え却下の判決を求めるとの本案前の答弁をしている。

第4 結論
 以上によれば,本件訴えのうち,Aの遺産のすべて(持戻し分を含む)を具体的かつ詳細に明らかにするよう求める部分,Aの遺産に関する平成23年7月31日付け遺産分割協議書による遺産分割が成立していないことの確認を求める部分,本件遺産分割協議書の効力如何にかかわらず同書に記載されたAの遺産が同人の遺産の一部であることの確認を求める部分は,いずれも不適法であるので却下することとし,その余の訴えに係る請求は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
 (裁判官 作原れい子)

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