photo3-2

判例3-遺産分割前の相続人の権利など

 

遺産分割前の相続人の権利(最判平成4年4月10日)

相続人は、遺産の分割までの間は、相続開始時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることはできないと解するのが相当である。

 

 

遺産分割協議の債権者取消権(最判平成11年6月11日)

共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となり得るものと解するのが相当である。
なぜなら、遺産分割協議は、相続の開始によって共同相続人の共有となった相続財産について、その全部又は一部を、各相続人の単独所有とし、又は新たな共有関係に行こうさせることによって、相続財産の帰属を確定させるものであり、その性質上、財産権を目的とする法律行為であるからである。

 

 

遺産分割後の負担不履行解除(最判平成元年2月9日)

共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の一人が他の相続人に対して協議において負担した債務を履行しないときであっても、他の相続人は、民法第541条によって遺産分割協議を解除することはできないと解するのが相当である。
なぜなら、遺産分割は、その性質上、協議の成立とともに終了し、その後は協議において債務を負担した相続人とその債権を取得した相続人間の債権債務関係が残るだけと解すべきであり、このように解さなければ、民法第909条本文により遡及効を有する遺産の再分割を余儀なくされ、法的安定性が著しく害されることになるからである。

 

 

無権代理人と相続1(最判昭和48年7月3日)

無権代理人の債務が相続の対象となることは明らかであって、このことは本人が無権代理人を相続した場合でも異ならないから、本人は相続により無権代理人の債務を承継するのであり、本人として無権代理行為の追認を拒絶できる地位にあったからといって、その債務を免れることはできない。
さらに、無権代理人を相続した共同相続人のうちの一人が本人であるからといって、本人以外の相続人が無権代理人の債務を相続しないとか、債務を免れうると解すべき理由はない。

 

 

スポンサード リンク