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判例2-連帯債務の相続など

 

遺産分割と登記(最判昭和46年1月26日)

遺産の分割は、相続開始時にさかのぼってその効力を生ずるものではあるが、第三者に対する関係においては、相続人が相続によりいったん取得した権利につき、分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならないから、不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法第177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗できない。

 

 

遺贈と登記(最判昭和46年11月16日)

被相続人が、生前、その所有にかかる不動産を推定相続人の一人に贈与したが、その登記未了の間に、他の推定相続人に不動産の特定遺贈をし、その後、相続の開始があった場合、贈与および遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもって決すると解するのが相当であり、この場合、受贈者および受遺者が、相続人として、被相続人の権利義務を包括的に承継し、受贈者が遺贈の履行義務を、受遺者が贈与契約上の履行義務を承継することがあったとしても、何ら理由とはならない。

 

 

連帯債務の相続(最判昭和34年6月19日)

連帯債務は、数人の債務者が同一内容の給付につき、各独立に全部の給付をなすべき債務を負担しているのであり、各債務は、債権の確保及び満足という共同の目的を達する手段として相互に関連結合しているが、可分であることは通常の金銭債務と同様である。よって、債務者が死亡し、相続人が数人ある場合に、被相続人の金銭債務その他の可分債務は、法律上当然に分割され、各共同相続人が、その相続分に応じてこれを承継するものと解すべきであるから、連帯債務者の一人が死亡した場合においても、その相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者になると解するのが相当である。

 

 

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