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判例1-生命保険金請求権の相続性など

 

寄与分と遺留分(東京高裁平成3年12月24日)

寄与分の制度は、相続人間の衡平を図るために設けられた制度であるから、遺留分によって当然に制限されるものではない。
しかし、兄弟姉妹以外の相続人に遺留分の制度を設け、これを侵害する遺贈及び贈与については、遺留分権利者及びその承継人に減殺請求を認めている一方、寄与分について、家庭裁判所が寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額、その他一切の事情を考慮して定める旨規定していることから、裁判所が寄与分を定めるにあたっては、他の相続人の遺留分について考慮すべきである。

 

 

生命保険金請求権の相続性(最判昭和48年6月29日)

「保険金受取人の指定のないときは、保険金を被保険者の相続人に支払う」旨の条項は、被保険者が死亡した場合において、保険金請求権の帰属を明確にするため、被保険者の相続人に保険金を取得させることを定めたものと解するのが相当であり、保険金受取人を相続人と指定したのと何ら異なるところがない。
そして、保険金受取人を相続人と指定した保険契約は、特段の事情のない限り、被保険者死亡の時におけるその相続人たるべき者のための契約であり、その保険金請求権は、保険契約の効力発生と同時に相続人たるべき者の固有財産となり、被保険者の遺産から離脱したものと解すべきである。

 

 

共同相続と登記(最判昭和38年2月22日)

相続財産に属する不動産につき、単独所有権移転の登記をした共同相続人中の一人、並びにその一人から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者に対し、他の共同相続人は自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。
なぜなら、前者の登記は後者の共同相続人の持分に関する限り無権利の登記であり、登記に公信力はないから、第三取得者も後者の持分に関する限り、その権利を取得する理由はない。そして、この場合に相続人がその共有権に対する妨害排除として登記を実体的権利に合致させるため前者に対し請求できるのは、各所有権取得登記の全部抹消登記手続きではなく、相続人の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続きでなければならない。
なぜなら、各移転登記は、前者の持分に関する限り実体関係に符号しており、また相続人は自己の持分についてのみ妨害排除の請求権を有するにすぎないからである。

 

 

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